数理的手法を使いやすくするためのソフトウェア開発

科学技術計算とデータサイエンスについて

研究者あるいはエンジニアの転職

研究者からデータサイエンティストへの華麗な転身^1 で有名なTJOさんが、自身の経験にもとづいて、 転職を考えているポスドクの人たちのために ブログ記事^2をまとめていました。

現役のポスドクだけでなく

その記事は、データサイエンス分野だけでなく、おそらく、 他の理工系分野のポスドクにも役立ちそうです。 そこには、転職前に検討すべきこと、転職の仕方、転職後のサバイバル法 がまとめられています。 おそらく、これから転職を考えているポスドクだけでなく、 すでに転職した元ポスドクにとっても興味深い内容です。 実際、私も元ポスドクで、10年以上前に民間企業へ転職して、 今もその企業で働いているのですが、 非常に感心しました。

なんといっても、長期的な戦略を立てて能動的に行動しているところが素晴らしい。 それに対して、私の転職は、お世話になっていた先生の紹介という受け身であり、 入社後も戦略的というよりも、流されてしまっていることが多いです。反省させられました。

社外あるいは社内での転職のために

しかし、世の中の流れを考えて、仕事の内容を主体的に選び、 そのためにスキルや知識を身につけたり、コネを作ることは、 社外へ転職するためだけではなく、社内で働き続けるためにも必要なのだと思います。 実際、去年から機械学習について学んだ結果として、 社外へ転職してはいないものの、 社内で異動してディープラーニングの高速化に従事することになりました。

こうしてみると、社外転職と社内転職を区別する理由はそれほどないのかもしれません。 そもそも、進歩が指数関数的に加速する世の中では、 科学・工学分野の同じ領域で仕事を続けることは難しくなっています。 なので、その変化に企業が適応しようとするときには、 昔のやりかたに固執する個人は職を失いかねません。 そうならずに働き続けるためには、 社内転職するくらいの準備が必要です。 他方では、その変化に個人が適応しようとしているときに、 昔のやりかたに固執する企業に未来はありません。 そんな企業と心中しないためには、社外転職するための準備が必要です。 そして、どちらの場合でも、個人として準備すべきことは、 将来の変化を見越して、次の仕事を選び、そのために学んでおくことなのだと思います。

時代の流れ

それにしても、自分が企業に就職したときと比べると、 研究者やエンジニアの雇用状況は良くも悪くもすっかり変わってしまいました。 悪いことというのは、アカデミアでの雇用が博士過程進学者が減少するほどに 厳しくなってしまったことです。かといって、民間企業はもはや終身雇用を保証できなくなっています。 しかし、良いことととして、科学・工学分野の進歩と、その産業界への波及の両方が速くなったお陰で、 新興分野でのスキルと学識を持っている人たちは好条件で職を得やすくなっています。 ですから、総合的には希望の持てる状況だと思います。

参考

^1:六本木で働くデータサイエンティストのブログ: 2012年春の転職活動について:研究者→民間企業

^2:六本木で働くデータサイエンティストのブログ: 企業に移って5年が経ちました