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どのように座れば、腰・肩・首に負担がかからないか?

在宅勤務になって1年半が過ぎ、体のあちこちが痛くなったり、こってきたので、 自宅の椅子を体に負担を掛けないオフィスチェアに買い換えようと思っています。

しかし、様々なオフィスチェアが販売されており、 それらが推奨する座り方も様々です。 そのため、購入したオフィスチェアと自分の座り方が合わないと、 かなり不幸なことになるようです。 買い替えた椅子で腰痛が悪化したとか、 何度も椅子を買い換えることになったとか、 お金と時間を無駄遣いしてしまったなどの話を聞きます。

そこで、そもそも、どのような座り方をすれば、 腰・肩・首への負担を軽くして、 痛みやこりが生じないようにできるのかから考えてみます。

1. 私にとって理想的な座り方

結論から言うと、図1のような座り方が自分には最適だと思っています。

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図1: オフィスチェア専門店WORKAHOLIC推奨の座り方(引用元 -- 専門家が厳選した「高級オフィスチェア」6モデルを座り比べてみた - 価格.comマガジン

この座り方は、オフィスチェア専門店WORKAHOLICで推奨されているようで、 パソコン操作時の腰、肩、首への負担を小さくなるという効果が期待できるようです。

2. 背景:様々な良い座り方、悪い座り方

しかし、この座り方とは別の座り方が推奨されていることも多いです。 図1のような座り方を推奨しているのは、WORKAHOLICと一部の家具店やオフィスチェアメーカーであるのに対して、 他の家具店やメーカーは、図1とは違った座り方を推奨しています。 おおまかにいって、図1は、後傾姿勢であるのに対して 他で推奨される座り方は、中立姿勢、あるいは、前傾姿勢です。

3種類の良い座り方

ただ、オフィス家具メーカのオカムラは これら3種類の座り方を、図2のように位置づけ、 作業内容に応じて座り方や椅子を使い分けることを推奨しています。

https://www.okamura.co.jp/ergonomics/posture/img/cap03/img01_03.png https://www.okamura.co.jp/ergonomics/posture/img/cap03/img01_02.png https://www.okamura.co.jp/ergonomics/posture/img/cap03/img01_01.png

図2:作業内容に合わせた座り方の使い分け (図の引用元 -- はたらく姿勢を考える|株式会社オカムラ

たしかに、個人的な経験から言っても、 短時間の作業を焦って終わらせようとしているときは前傾姿勢になりがちですし、 長時間の仕事に集中しようとしているときには後傾姿勢になっていますので、 オカムラの推奨は理にかなっていると思います。

また、紙の書類とハンコには、前傾姿勢が必要でしょうが、 ペーパーレスでバソコン操作ならば、図1のように、後傾姿勢のほうが好ましいという、 使い分けもあると思います。 更に言えば、話しかけられたすぐに応答しなけれならないような働き方なのか、 それとも、周囲のことは忘れて没頭することが求められる働き方なのかでも、 適切な座り方は変わってくるはずです。 個人的には、 出勤していて、応答性が求められるのであれば、緊張感を保てる前傾姿勢が良いときもありますが、 在宅勤務で、没頭が求めれるのであれば、余計な力が入らない後傾姿勢のほうが良いです。

そして、これらのことを考えると、私は、長時間の集中が必要な仕事を、ペーパーレス、在宅勤務でしていますので、 前傾姿勢が良い状況というのは少なく、後傾姿勢のほうが良い状況がほとんどです。

3種類の悪い座り方

悪い座り方にも、良い座り方と同じように、前傾、中立、後傾の3種類があります。

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図3:伝統的な正しい座り方と、3種類の悪い座り方 (図の引用元 -- 腰痛の予防|くすりと健康の情報局

猫背は、図2の前傾姿勢と、上半身が前傾している点は同じですが、下のほうの背骨が外側に曲がっている点と、骨盤は後ろに傾いている点が違っています。 「腰を反った姿勢」も、図2の基本姿勢と、上半身が中立している点は同じですが、背骨の曲がり方と骨盤の配置が異なります。 「背もたれ寄りかかる(姿勢)」も、図2の後傾姿勢と、後継している点は同じですが、背骨と骨盤が異なります。

このように背骨の曲がり方と骨盤の配置が違っていることが、良い座り方と悪い座り方の違いです。 背骨の自然なS字カーブと骨盤の配置は、直立した時に体重を効果的に支えられるように進化してきた産物ですから、 図2の座り方のように、それらが保たれていれば、体重負荷が腰・肩・首を痛めることはありません。 しかし、図3の座り方のように、この進化の産物が活用されない状況では、体重負荷のために体が痛くなったり、こったりするのです。

3. 考察:なぜ悪い座り方をしがちなのか

ちなみに、私は、今の椅子で、図3の「正しい姿勢」をしているつもりでも、「腰を反った姿勢」になってしまいがちで、 長時間の仕事で疲れてくると、「背もたれにより掛かる(姿勢)」になってしまっています。 たまに、紙やハンコを扱うときや、焦っているときには、猫背になっているのかもしれません。

なぜなんでしょうか。(心の叫び)

なぜ、正しい姿勢で座ろうとしていても、ついつい悪い姿勢になってしまうのでしょうか。

私は、図3の「正しい姿勢」だけを良い姿勢だとする狭量さと、 精神論だけで「正しい姿勢」をとれるとする野蛮さのためだと考えています。

例えば、図3の「正しい姿勢」では、プログラミングなどのパソコン操作がしづらいのです。 プログラミングに集中して長い時間が経つと、後傾姿勢になってしまう人が多いのは、 伝統的な「正しい姿勢」よりも、後傾姿勢が自然であり、楽であることを示しています。 そして、伝統的なオフィスチェアは後傾姿勢をサポートするように設計されていませんから、 ソフト開発者のようにパソコンを長時間操作する人々は、 疲れてくると図3の「背もたれにより掛かる(姿勢)」になってしまいがちです。

この状況に対して、後傾姿勢は正しくないとして、図3のような「正しい姿勢」の他は認めないというのは、 狭量であり、心が狭すぎるのではないでしょうか。 適切に設計された椅子のサポート無しで、根性だけで「正しい姿勢」をとれというのは、 野蛮であり、頭が悪すぎるのではないでしょうか。

同じことは、前傾姿勢が適した仕事で猫背になりがちなことについても、 中立姿勢が適した仕事で「腰を反った姿勢」になりがちなことについても、 言えます。 「正しい姿勢」についての狭量さと、精神論のなかの野蛮さのために、 我々は腰・肩・首を痛めることになるのです。

4. 結論:姿勢を良くするには、適切に設計されたオフィスチェアが必要

上記のように私は考えますので、図3の「正しい姿勢」の他にも、 図2の前傾姿勢や後傾姿勢が「正しい姿勢」として、もっと広く認められるべきだと思います。

そして、適切に設計された椅子のサポート無しで、精神論だけでがんばるよりも、 図3のように姿勢をサポートできる椅子を使うことを考えても良いと思います。

自分に合ったオフィスチェアを選ぶために

上で紹介したように、 オカムラは、仕事と生活スタイルに合わせて、前傾、中立、後傾サポートのオフィスチェアを選ぶことを提唱していますので、 こうして選んだ椅子に座れば、体にかかる負荷を減らすことにもなると思います。

たとえば、私の場合は、長時間のパソコン操作という後傾姿勢をとりがちな生活スタイルから言って、 後傾姿勢サポートのオフィスチェアを選ぶことになります。 そして、このようなオフィスチェアは、後傾姿勢が陥りがちな「背もたれにより掛かる(姿勢)」を、 良い後傾姿勢へと誘導することで、 腰・肩・首への負荷を軽くしてくれるかもしれません。

同じように、前傾姿勢をとりがちな仕事・生活スタイルのひとは、オカムラの提唱に合わせれば、 前傾姿勢サポートのオフィスチェアを選ぶことになります。 そして、このようなオフィスチェアは、前傾姿勢が陥りがちな猫背を、良い前傾姿勢へと誘導することで、 体への負荷を軽くしてくれるかもしれません。 (もっとも、前傾姿勢サポートのオフィスチェアとしては、オカムラの製品よりも、 ハーマンミラーアーロンチェアのほうが評判が高いように思えます。)

さて、以上のように考えて、私は後傾姿勢サポートのカテゴリーのなかから、 オフィスチェアを選ぼうと思います。 とはいえ、このカテゴリーに絞っても、オフィスチェアは種類が多すぎます。

そこで、次のブログでは、このカテゴリーのなかで、どのようなスペックが最適なのかを考えます。

後傾姿勢サポートのオフィスチェア比較:オカムラ(コーラル、フィノラ、バロン、サブリナ)vs エルゴヒューマン プロ - 数理的手法を使いやすくするためのソフトウェア開発